全国新規就農相談センターでは、農業に興味のある方々へ向けて就農関連のイベント情報や就農に役立つ知識などをお伝えする「新規就農メールマガジン」を発行しています。農業に興味がある方は是非ご登録ください。
(全国新規就農相談センター 相談員によるコラム)
相談を進める際、単位について認識を統一する必要があります。相談者が都市生活者でサラリーマンの場合、土地の広さを計る単位は平方メートル、収入は月給が一般的ですね。
一方、農業の世界では、農地の単位は10アール(1000平方メートル、約1反)当りで話します。収入も、年単位です。このイメージを持ってもらうことに、けっこう時間を費やします。
そして、農地を購入もしくは借りるために農業委員会で許可を受けるために必要な最低面積(下限面積)が50アールであることを伝えます。宅地で100平方メートル前後のイメージしかない方からすると、途方もない広さに感じてしまうようです。
そこで、10キロの米の購入金額を聞き、10アール当りの米の収穫量が500キロとして、小売価格でその50倍であり、収益は約2万円しかなく、それも年間でと伝えます。
人の空間認識は、相対的なものです。
周りに建物などがある場合には、広く感じますが、水田や畑など、比較するものがない場合には、50アールといえども小さく感じます。
この点を踏まえ、空間を体感していただくために、まずは農作業体験を勧めています。
(全国新規就農相談センター 相談員によるコラム)
当センター実施の新規就農者への実態調査によると、新規参入者(非農家出身者が農地の権利を取得し新たに農業経営を行う)が就農時に最も苦労した点は「農地の確保」です。
相談に来られる就農希望者のほとんどは農地のあてがありません。就農の基本は「どこで」、「何を」ですから、農地が決まらなければ作る物もままなりません。
そこで、就農相談では会話のキャッチボールをしながら「おじいちゃん、おばあちゃんの住まいは?」、「そこに農地はありませんか?」など、たとえば、家族、親族等から確保できる農地の有無等、手がかりを探します。そして、ない場合の探し方の一つとして、就農希望地(市町村等)の就農支援制度を調べたりします。
今は、各県やほとんどの市町村、JA等が事業主体となり、就農希望者向けに「農業担い手塾」などの研修・支援制度を実施しています。つまり、その地に身を置けば、農地の斡旋はもとより、技術サポーターや住居、資金補助制度など、さまざまな支援策を提供してくれる地域もあります(詳しくは当センターホームページから「支援情報」の中の「自治体等による新規就農支援情報」をご覧ください)。
農業がやりたい!という自身の気持ちを大切に、まずは農地の確保に全力を尽くし、その一歩を起点に着実に農地を広げていきたいものです。
(全国新規就農相談センター 相談員によるコラム)
非農家出身者の場合、農家出身者と違い、就農する地域や作目は自由に決められる訳ですが、逆に「どう決めたらいいのかわからない」との相談も多いです。
そこで、ヒントとして「①就農する作目を検討する中で就農する地域を固める、②暮らしたい地域の中から選択する」を指摘させていただいています。
例えば、前者の場合、トマトに固まったとすると、全国のトマトの主産地の中から就農地域を考えていくことになります。具体的には、熊本県や北海道、茨城県、愛知県、千葉県といったところです。
後者については、新規就農の場所は農業生産と同時に生活の場にもなる訳ですから暮らし面にポイントを置いて就農地域を検討するということです。都会生活が嫌になって地方での田舎暮らしを希望される方も多くおられますが、都会生活の便利さも捨てがたく、東京から近い、千葉県、神奈川県、埼玉県での就農をお考えの方も見受けられます。
また、冬場に積雪が多い日本海側ではなく、少ない太平洋側を、さらに温暖な西日本地区を求められる方もおられます。その他、地震の少ない地域を希望される方もおります。
いずれにしましても、「就農する地域」と「就農作目」の間には相互規定関係があり、「就農する作目」を中心に「就農する地域」を決めるか、「就農する地域」を中心に「就農する作目」を決めるかということです。この2つの項目を何度も行き来して、農業体験や情報収集による十分な検討を重ねることにより、将来に悔いの残らない決定をしたいものです。
「農業を行うには、何か資格が必要ですか」と聞かれることが多い。
その際、「例えば酪農や肉用牛経営では、人工授精師、受精卵移植師などの資格を所持していたほうが有利であり、その他の畜産経営も含めて飼料製造管理者の資格があればよい」と説明している。露地野菜や米麦など耕種農業では、トラックター運転のための大型特殊免許やけん引免許、農薬を取り扱う関係から劇薬物取扱主任などの資格取得が必要だと伝えている。
さて、ここで抜け落ちているのが自動車の運転免許。
還暦を超えている相談員にとって、「自動車の運転免許は、保持していることが常識」と、思い込んでいたためだ。ところが、公共交通機関が発達している東京生まれの東京育ちの相談者の中には、保持していない人が多く見られる。そこで、最初に自動車運転免許の所持を確認するようにしている。また、所持していたとしても、AT限定かどうかも聞くことにしている。
就農する以前、田舎暮らしに自動車は不可欠だし、就農すれば出荷などに不可欠だからだ。さらに、AT限定の解除は、大部分の中古軽トラがマニュアル車であることからだ。
そこで「最初にすべきことは、マニュアルでの自動車免許の取得。配偶者も含めて」と、促している。