新規就農者

[未来人材プラス]エディブルフラワーと水稲の複合経営実践 販路拡大 夢も膨らむ福島県郡山市 影山智さん(31)

 福島県郡山市のせっちょっぱら農園、影山智さん(31)は100年続く農家の4代目。水稲3ヘクタールの他、妻の美樹さん(31)と年間15種類のエディブルフラワー(食用花)を2棟のハウス(計4アール)で生産する。社会人経験を経て、農業経営を学ぶために大学に進学。水稲とエディブルフラワーの複合経営で、規模拡大を目指す。

 「これからは、水稲だけでは食べていけない」。智さんは県内の農業短期大学で学び、農業高校で実習助手として勤務。本格的に事業継承し、農業一本に絞ろうとした時「米以外の経営の柱が必要」だと考えた。

 日本農業経営大学校に入学し、エディブルフラワーに出合った。鮮やかな花が料理や洋菓子を彩り、美しさに心を奪われた。生産現場ではハウスでのポット栽培を視察した。育苗ハウスを活用したいと考えていた智さん。初期投資を抑えられ、4月以外は花の生産に充てられることに「これだ、と思った」と話す。

 東京で、農業短大時代の知り合いだった美樹さんと再会し、2019年に共に帰郷した。フラワーショップに務めていた美樹さん。エディブルフラワーを生産すると聞き「花に関われること、未知の領域にわくわくした」と振り返る。

 ポット栽培は虫や病気が発生しても、ポットを隔離することで拡散を防げる。高設台は自作した。花だけでなく、種も無農薬にこだわる。肥料はぬかや漁かすを使った有機質肥料で、培養土は花によって変える。

 19年、市内のカフェや洋菓子店を中心に計約80カ所に手紙を出した。1年間の花の生産スケジュールと、サンプルを送付。注文の電話は徐々に増え、今ではカフェやブライダル関係などから、月約100パック(1パック25輪程度、660円)受注する。智さんは今後「ハウスの増設や地元の人を雇用し、規模を拡大したい」と夢を語る。

 

影山さんが学んだ日本農業経営大学校のウェブサイトはこちら。

(新たな教育課程への移行準備のため、23年4月入学の募集は停止しています)

https://jaiam.afj.or.jp/