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[未来人材プラス]国産蜂蜜絶やさない 衛生管理はお手のもの 巣箱環境整え飼育数増 山口県周防大島町・笠原隆史さん(36)

 調理師から養蜂家に転身した山口県周防大島町のKASAHARA HONEY代表の笠原隆史さん(36)は、かんきつ農家と協力して「みかん蜂蜜」を作るなど地域を盛り上げる養蜂を実践する。2010年に瀬戸内海に浮かぶ同町の屋代島へ移住。蜂蜜を使ったドリンクなどを提供するカフェを営みながら、耕作放棄地で花きや野菜を育て、蜂と共生する島を目指す。

 実家は同県岩国市の養蜂家。今は島内13カ所でセイヨウミツバチ150群を飼育する笠原さんだが、「朝の暗いうちから5時間以上かけて採蜜する姿を見て、絶対にやりたくないと思っていた」と振り返る。

 調理師として食材の知識を深める中、国産蜂蜜が市場の10%にも満たないことを知った。「絶やしてはいけない」と、養蜂家への道を決意。親元で1年間学び、蜂を譲り受け、24歳で同町へ移住した。

 養蜂を始めて5年目に天候不順やダニの大発生で蜂が激減した。50匹以上いた女王蜂が、20匹に減り、6、7トンあった生産量は1・5トンまで減った。基本に立ち返り、巣箱の環境を整えるため消毒と洗浄を徹底した。「働く環境を清潔に保つ調理師の経験が生きた」と笠原さん。蜂が増え、22年は女王蜂が過去最高の100匹に達した。

 飼育に試行錯誤する一方、同町の大島商船高等専門学校の起業家養成塾「島スクエア」で起業を学んだ。銀行の融資を受け、16年に同町でカフェ「KASAHARA HONEY」を開店。近隣のかんきつ農家と農薬の散布時期を話し合い、ミカンの花の蜂蜜も商品化した。21年度は、養蜂とカフェで3000万円を売り上げ、今は7人を雇用する。

 「養蜂には環境保全が重要」と、耕作放棄地を借りてヒマワリやナスなどを育てる。8月には放置竹林の整備、山に花木を植えるNPO法人も設立する予定だ。