新規就農者
希少な国産に挑戦 寒暖差を生かし栽培
新潟市の関根邦仁さん(40)は「雪国アボカド」のブランド名で、国産では数少ないアボカドを出荷している。実家での就農2年後に「自分の農業をしたい」と新品目を模索。アボカドは寒さに強く、消費量が増加していると調べ、栽培方向から独自に作り上げた。
軒高4メートル、棟高9メートルもある10アールのハウスでは、9月から翌年3月ごろまで出荷するアボカドが育つ。メキシコで有名な産地は、標高2000メートル級の寒暖差が激しい山間地。関根さんは「ハウスでの管理と新潟の寒さとの温度差が、脂が乗った味の濃い実を作る」と話す。
就農したのは2013年の夏。実家の桃と水稲、ヒラタケで、言われるまま作業していた。それ以前は海外で公演ツアーも経験したバンドで活躍。「やりたいことは全部やった」との思いから、父と約束した農業の道に進んだ。
地元に戻って同世代の農家に会うと、10年近い経験差に「同じ事で追い付くのは難しい」と感じた。14年に子どもが生まれ「自分が将来、子どもに誇れる仕事をしたい」と新品目を検討した。
作っている品目では、桃が面白いと思っていた。果樹品目の需給を調べ、輸入が増えているのに国産がほぼないアボカドに目を付けた。家族が食べることを考え、健康に良いことも重視した。
輸入される品種はほぼ「ハス」だけ。関根さんは15年に苗木を購入し、試験を含め40品種以上を栽培した。新しい挑戦でマニュアルはなく、近隣の他の果樹や園芸品目を参考に手法を模索した。
17年に約100個を収穫、18年からホームページ(HP)で販売した。テレビの放映を機に注文が増え、現在は抽選で販売する。HPには生産の環境や思いを詳細に載せている。「音楽も、作ったものを伝え、好きになって買ってもらうのは同じ。農家として、ちゃんと伝え、理解し、納得して購入してもらいたい」と話す。