新規就農者
化学農薬不使用でミニトマト栽培
熊本県天草市の原田孝平さん(33)は自動車メーカー勤務を経てUターン就農し、ミニトマト栽培に情熱を注いでいる。市内外の農家のもとで教えを請い、化学農薬や肥料に頼らない独自の栽培を探求。味が評判を呼び、就農2年目で多くのリピーターを抱える。
20アールのハウスには2600本の苗木が力強く育ち、つやと張りのあるミニトマトが鈴なりに実を付ける。近隣から譲り受けた雑草を敷いた畝間はふかふかとした感触だ。無農薬栽培米農家からもらったもみ殻も活用し、暖かさを保ちつつ土中の微生物の働きを促す。
和牛肥育、観光ブドウ園、杉の苗木生産など多品目を手掛ける両親の下で育ち、休日は家業の手伝いに明け暮れた。休みも自由もない生活から「逃げるように」、高校卒業後は広島県の自動車メーカーに就職した。
人間関係や金銭面は充実していたが、日勤と夜勤を週単位で繰り返す生活で体調を崩した。「この仕事は定年まで続けられない」と一念発起。移住、子育て支援への充実度の高さからUターンを決めた。JAあまくさが運営するミニトマトの研修ハウスで2年間、栽培技術を習得した。
独立して構えたハウスは、甘いトマトが育ちやすいとされる干拓地に立地。会社勤めで培った探求力で農家を回り、地質を生かした病気が出にくい栽培方法を模索した。行き着いたのは肥料や化学農薬の使用を“やめていく”やり方だった。
追肥せずにおいしいミニトマトができるかを試すことから始めた。液肥の使用をやめると病害虫の被害が減ったため、農薬散布もやめ、誘引や摘葉処理など管理作業に労力を費やすようにした。JA出荷の他、LINEで情報発信。口コミで評判が広まり、多くの注文が入る。
「多くの人にハウスを見に来てもらい、自分のやり方を一つの栽培方法として知ってもらうのが目標」と力を込める。
▼原田さんが学んだJAあまくさの研修制度を紹介する熊本県新規就農センターのウェブサイトはこちら。