新規就農者
「尊くうそのない仕事」 ミニトマト生産まい進
北海道新ひだか町でハウス10棟でミニトマトを生産する山崎琢磨さん(35)は、大手証券会社のサラリーマンから転職して農家になった。東日本大震災が転機となった。地域の支えを受け、野菜栽培にまい進する。
山崎さんは「山崎農園」を営み、夏のミニトマトを主力に、冬にはレタス、ホウレンソウも栽培する。就農から7年。できる限り経費を抑え、着実な生活基盤を築くことを目指す。
札幌市出身で、北海道大学を卒業後、大手証券会社に入社。営業職として神奈川県に配属となった。東日本大震災発生直後の入社で、顧客に数百万円の損失が生じる事態に直面。仕事に誇りを持てず苦悩した。顧客への申し訳なさから「せめても」との思いで休日に農作業を手伝った。
「農業は人が口にする物を作る、尊くうそのない仕事」。農作業を体験してそう感じ、入社1年半で会社を退職。道内の農業法人に就職した。妻・聡美さん(37)と知り合ったのもこの時だ。農業法人で働くうちに、独立に向けた研修制度や移住支援など、新ひだか町の手厚い就農支援制度を知り同町に移住した。
1年目の農家研修、2年目のハウス団地研修を経て28歳で独立。自信も意気込みもあったという就農初年は病害虫の発生に苦しんだ。近隣農家が原因の助言をしてくれたことで対策ができたという。翌々年には記録的大雪でハウスが倒壊。地域農家や町、JAしずない、全道のボランティアが力を合わせ復旧した。
山崎さんが感じる農業の魅力は「仕事に100%うそがなく、自信を持ってできる」だ。経費削減に努める一方、肥料など土に入れる資材には費用を惜しまない。無理をせず家族との時間を大切にする。午前3時に起きて農作業前に海釣りを楽しむ日もある。「農業者として生活し、2人の子どもたちの将来のためにも着実に貯金をしていきたい」と目標を語る。
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