新規就農者

[未来人材プラス]先行して後輩を支援 神奈川県秦野市・小川翔吾さん(34)

第三者継承で酪農開始 5年で経営安定めざす
 

 神奈川県伊勢原市の小川翔吾さん(34)は、秦野市で第三者継承によって経営を引き継ぎ、酪農をスタートさせた。県内では酪農の第三者継承は珍しく、就農希望者が相談や実習に訪れる。「後継者を探す酪農家は他にもいる。先行例となって、後輩を支援できるようになりたい」と意気込む。

 牛舎や土地、牛、機械、トラック類全て有償譲渡を受け、2021年4月に経営をスタートさせた。現在、経産牛30頭、未経産牛2頭、子牛4頭を飼育する。

 「先代から初対面の時に、全て込みで2500万円と言われて、すぐに決めた」。青年等就農資金で借りられる範囲だったこと、一人で経営するにはちょうど良い規模だったことが決め手になった。譲渡の条件がはっきりしていたことも後押しになった。別の酪農家との交渉では、条件に折り合いがつかなかったことがあるためだ。

 酪農に携わりたいと、県畜産技術センターや東京都の牧場での勤務を経て、30歳を手前に独立就農を決心した。勤務先の牧場に出入りする飼料会社の営業担当に相談し、後継者を探している牧場を紹介してもらった。「出入り業者は酪農家の経営状況に詳しい上、酪農家を減らしたくないと考えている。牧場まで同行してくれた」という。

 継承にあたっては、引き継ぎのため経営開始前の半年間、従業員として働いた。双方の希望で、JAはだのなどでつくる、はだの都市農業支援センター、県、秦野市、日本政策金融公庫に関わってもらい、継承会議を毎月開催。認定新規就農者の認定や収支計画の作成などで支援を受けることで、円滑な継承につながった。

 農業次世代人材投資資金が交付される5年間で経営を軌道に乗せるのが目標だ。飼料の改善や肉用子牛の育成に取り組む。「飼料高騰は厳しいが、今は牛を安く買える利点もあり、やりがいは大きい」と前向きだ。

 

▼小川さんが牧場経営を継承する際に支援した「はだの都市農業支援センター」のサイトはこちら。

https://ja-hadano.or.jp/agriculture/center/index.html