新規就農者
大学校で技術に磨き 高品質「大将季」栽培
鹿児島県阿久根市で発見された中晩かん「不知火」の枝変わり品種「大将季」の生産に情熱を注ぐのは、同市の小園悠太さん(22)だ。農業大学校で実験と研究を重ね、在学中に糖度20超えを成し遂げた。農業研修先で食べたミカンの味に衝撃を受け、「自分が作ったかんきつの味をきっかけに、農業を志す人を増やしたい」と夢を描く。
幼い頃から実家の果樹園に足を運んでいたが、手伝うことはなかった。「いつか継ぐのだろう」とぼんやり意識しながらも中学、高校と農業とは縁遠い生活。高校まで打ち込んだ柔道に区切りを付けたところで、就農へ一気にかじを切った。父・博樹さん(59)の背中を追いかけ、県立農業大学校に入学した。
入学後は、教員からの指導を受け、みるみる果樹生産に魅了された。研究のテーマにしたのは、地元で生まれた「大将季」。「不知火」と比べ果皮や果肉が紅色がかっているのが特徴だ。出荷基準となる糖度は13以上だが、より高糖度、高品質にするための研究を開始。目標としていた糖度20超えは、剪定(せんてい)や施肥、着果時期にポイントを置きながら試験栽培をすることで成功した。研究は2020年度の全国農業大学校等プロジェクト発表会で特別賞に選ばれた。
在学中に果樹を経営する市内の農業法人での研修も経験。1カ月と短期間だったが、そこで食べたミカンの濃厚な甘さに衝撃を受けた。卒業後はその法人の門をたたき、1年間研修を受けた。新型コロナ禍や資材高騰に直面する中での就農に対し「最初に苦しさを経験しておけば、後は楽になる」と応援してくれた。
当面の目標は「大将季」と温州ミカンの2品目の食味を“極める”こと。今冬、初めての出荷シーズンを迎えた。「食べた人から電話で感想や問い合わせが来たのがうれしかった。でも研修先と比べたら、数はまだまだ」と、一層の技術向上に意欲を見せる。
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