新規就農者
重量野菜の伝統産地で売上高10億円めざす
重量野菜の伝統産地、岡山県瀬戸内市牛窓町にIターン就農した高田和之さん(30)は、就農から5年で年間7000万円を売り上げる。25歳で就農する計画を立て、米国と国内の農業法人で働き、経営の知識と自信を獲得。農園は法人化し、5ヘクタールで正社員4人を雇用する。農地を広げながら品目を増やし、一層の経営拡大を目指す。
岡山市出身。祖父母が牛窓町で農業をしており、小さい頃から作業を手伝っていた。中学の時に祖父が亡くなると、「祖母の農機を直せるように」と県立興陽高校農業機械科に進学した。
同町は高品質なハクサイやキャベツの産地だが、担い手不足が課題。耕作放棄地を見て、同町で就農する決意を固めた。「牛窓の野菜はJA岡山がしっかり売ってくれる。農業経営に可能性を感じた」と振り返る。
「25歳で就農する」と決め、逆算で経営計画や資金など準備を重ねた。県立農業大学校を卒業後、国際農業者交流協会(JAEC)の海外農業研修で渡米。野菜農場で働きながら、農場主や同僚と英語・スペイン語で交流し、大規模経営を肌で学んだ。帰国後は、6次産業化に力を入れる岐阜県の農業法人で働いた後、岡山県に戻り同町の先輩農家の下で重量野菜の栽培を覚えた。
2018年に1ヘクタールで独立。5年間の準備が奏功し、初年から1000万円を売り上げ、19年に法人化した。ハクサイ、キャベツ、トウガン、トウモロコシ、レモンなどを育て、トウモロコシのアイスクリームなどで6次産業化。市場に求められる数量を確保しながら品目を増やす「適正量多品目」の経営を目指す。
「規模拡大できたのは地域の農家やJAが農地取得などで助けてくれたおかげだ」と強調。JA岡山牛窓白菜部会では役員も務める。課題は法人を支える人材の育成。「売り上げ10億円の働きがいのある農業法人にしたい」と未来図を描く。
▼高田さんが参加した海外農業研修について解説する国際農業者交流協会のウェブサイトはこちら