新規就農者
後志管内共和町の品田健太朗さん(28)は今春、地域おこし協力隊員としての活動を終え、全国的に評価の高いブランド「らいでんメロン」の生産者として独立した。2年間にわたる研修活動で、地元の指導農業士らからハウスの温度管理などの基本技術をみっちりと学んできた。品田さんは「少しでも早く一人前になることが地域への恩返し」と誓う。
学生時代の夢実現 「地域に恩返し」誓う
札幌市出身で、大学卒業後の2018年4月から約3年間、東京都江戸川区の職員として勤務した。
同町の農業支援担当の協力隊員に採用され、実際に活動したのは21年4月から。「学生時代から農業に憧れていた。いったん諦めて公務員になったが、『夢をかなえてみよう』と転身を決意した」という。
糖度を含めた味に加え、きめ細かな網目など見た目の美しさも求められる「らいでんメロン」の栽培は、専門的な技術力と長い経験が必要とされる。
品田さんは、指導農業士でもある町内のメロン農家の下で、基本となるハウス内の温度管理をメインに、播種(はしゅ)やポットでの育苗、定植と施肥、防除のタイミング、剪定(せんてい)、収穫の方法といった基本技術を学んだ。この他、トラクターをはじめとする農業用機械の操作方法なども勉強した。
後継者を探していた同町の農家に見込まれた品田さん。丘陵地に広がる農地4・7ヘクタールと家、倉庫、農業用機械などを一括して購入することもできた。
独立1年目は100メートルハウス10棟で、メロンを栽培。目下は妻の祐美さん(26)と大切に育てた苗の植え付け作業に追われている。
待望の収穫作業は2回のピークに分けて行う。期間的には7月から10月末までの予定で、今後は人手を確保して露地栽培にもチャレンジする考えだ。
総務省によると、全国で22年度、過去最高となる6447人の協力隊員が活動した。このうち最も多い道内では、全体の約15%を占める943人が農畜産物の生産サポートや販売促進などの分野で活動した。
この中の一人の品田さんは、同町の協力隊員出身者として初めての就農者となった。担当の同町産業課は「誠実で努力家。2年の研修で実力も付けた。基幹産業の農業の将来を担ってくれる人材」とエールを送る。
品田さんは「まったく経験のない僕のような者に、挑戦の機会を与えてくれた共和町の人たちに感謝している。頑張って、この土地に根付きたい」と意気込む。
▼品田健太朗さんが採用された共和町地域おこし協力隊員の募集についてのウェブサイトはこちら
https://town.kyowa.hokkaido.jp/soshiki/kikakushinkouka/news/2022-0824-1720-69.html