新規就農者
茨城県ひたちなか市の安蔵洋一さん(58)は、自動車部品メーカーを早期退職し、50代半ばで野菜を生産する農家になった。ゴボウやショウガ、カボチャ、スイカを主力に、サトイモ、ニンニク、ジネンジョなどを栽培し、JA常陸農産物直売所4カ所へ出荷する。
長く自動車部品の設計を手がけてきたが、一念発起し、2019年10月、水戸市の日本農業実践学園のオープンキャンパスに参加した。20年4月から1年間、シニア向けの実践力養成科で土づくりや植物生理学、経営計画、農業の6次産業化などを学んで、21年4月に就農した。
「祖父も父も野菜を作ってきた。親戚にも農家が多い。遊休農地がたくさんあり、将来の人生を考えたら自分に何ができるか。体を使うのもいいかなと思った」と就農の動機を語る。
農地は借りた約70アール。父親の手も借りるが、一連の作業はほぼ1人でこなす。実践学園で土づくりを学んだことがきっかけで「土壌医2級」を取得し、営農に生かす。
「楽しみながら、無理せず、自分にできることをする。自分がおいしいと納得できるものを地域に提供する。そして低化成肥料・低農薬」をモットーに、事業承継をにらんだ将来像を描く。
実践学園の籾山旭太学園長は「着実に経営体を築いていこうとしている。若い就農者には地に足の着いた姿を見せてくれている。みんなの希望の星になってほしい」とエールを送る。
▼安蔵さんが学んだ日本農業実践学園のウェブサイトはこちら