新規就農者
高知県北川村の今吉祥さん(32)は、就農半年目の若手ユズ農家だ。岡山県出身で高校を卒業後、高知大学へ進学。卒業後は、北川村でユズ加工品の品質管理などを行う加工業に従事していた。当時、会社の取引相手だったユズ農家の田所正弥さんから「栽培をやってみんかえ」と誘われたことがきっかけで就農を意識するようになった。
少子高齢化による担い手の確保が課題となっていた同村では、ユズ農家を目指す「委託型地域おこし協力隊」の募集があったことや、勤務地となる協力先農家が田所さんだったこともあり、就農を決意。その後、3年間の協力隊制度を活用し、ユズ農家の下で栽培技術などのノウハウを学び就農した。
現在、幼木64アール、成木40アールを栽培。病害虫の防除や消毒、収穫作業など全ての農作業を1人でこなす。農繁期となる収穫時期の毎年9月末~12月下旬は毎日朝から夕方まで収穫し、夕方から深夜まで選別する忙しい毎日を送っている。
体力には自信があったという今吉さんだが「夏の草刈りなどの管理を自分の身一つで全てこなすのは大変」と話す。しかし「大変な毎日を過ごす中でも、収穫時期に近づいたとき、きれいなユズができているのを見るとやりがいを感じ、苦労が報われる」と農業の喜びを話す。
数年後には20アールほどの規模拡大を考えている。今吉さんは「少しでも多くの消費者に、この香り高いユズを伝えられる農家になりたい」と思いを語る。
「地域おこし協力隊は活動に必要な道具や委託料がある他、国から3年間の補助もあるので、ユズ農家になりたい人は北川村の地域おこし協力隊を勧めたい。今後も、これから入ってくる協力隊の指標となれるよう、日々の作業に取り組みたい」と語る。