新規就農者
氷見の農家で修業、独立
とやま農業未来カレッジ5期生の川渕拓海さん(23)が今春、地元の富山県氷見市で白ネギ農家として独立した。農場名は「砂丘ファーム」。近隣の水路に能登半島地震の影響が少ないことも確認でき、定植を始めた。産地の新たな担い手として周囲の期待は大きく、「まずは安定して生産できるよう頑張りたい」と意気込む。
川渕さんは氷見市海浜植物園のそばに畑50アール、別の地域にも作業所と畑40アールを借りて、白ネギの栽培に取り組み始めた。今年挑戦するネギは10品種。耕作放棄地だった農地の一部を除き、栽培に使用できる70アールで年間12トンの収穫を目指す。
一帯の砂地は「氷見砂丘」と呼ばれ、白ネギの産地として知られている。水はけが良く栽培に適した土地。川渕さんは「就農するならJAも力を入れている白ネギにしよう」と考え、地元の松原政彦さん(55)の農園で4年間修業を積んだ。
実家は氷見市小杉で工務店を営むが、「祖父が趣味の延長で原木シイタケを作り、祖母が家庭菜園を楽しむ姿を見て野菜作りの面白さを知った」と振り返る。家業ではなく、農業に進路を定めた時、親は「自分のやりたいことをしたらよい」と後押ししてくれた。氷見高校農業科に進み、農業クラブの全国表彰を受けるほど熱心に資格取得に励んだ。
とやま農業未来カレッジには、2019年に5期生として入学した。県内のさまざまな生産現場を見て「いろんなやり方や考え方があることを知った」と言う。卒業後、仕事ぶりを見守ってきた松原さんは「知識が豊富で努力家。仕事を堅実にこなす」と評価し、「若い人が活躍してくれれば地域に活力が生まれる」と期待する。
5年後の目標2・5ヘクタール
川渕さんは「農業は先々を考えながら手を打つ仕事。怠けると、後で必ずはね返ってくる。天候にも左右される。手間暇をかけた労力に見合うだけの報酬が得られるように、仕事の環境を整えることが大切」と話す。5年後には畑を2・5ヘクタールにまで拡大する目標を掲げ、「将来的には法人化して経営を安定させたい」と夢を語る。
▼川渕さんが研修した「とやま農業未来カレッジ」のウェブサイトはこちら