新規就農者
群馬県邑楽町の諸井智貴さん(26)は県外でサッカーのコーチを務めていたが、2年前に帰郷。昨夏から米麦に加えて、ブロッコリーなど野菜の栽培も始めた。父親が体調を崩したことが、就農のきっかけとなった。JA邑楽館林の組合員になり、新たにインターネット販売に取り組むなど多忙な毎日を送っている。
同町で代々続く農家に生まれた。幼い頃からサッカーに打ち込み2010年、インターハイ常連の明徳義塾高校(高知県)に進学。サッカー漬けの毎日を送った。
卒業後は指導者になるため、新潟県の専門学校に進学し、母校などでコーチを務めた。
2年前に故郷に戻った当初、就農は考えていなかった。だが、昨夏に父親が体調を崩したため「自分がしなければ」と就農を決意した。
とはいえ「農作業を全く知らない状態だった」と振り返る。町やJAからは研修を勧められたが「自分が農作業をしないと、家族を養えない」という状況にあったため、研修をする時間がなかった。
親戚や知り合いの農家、種苗店と頻繁に連絡を取って、勉強しながら農作業する毎日を送る。
水稲3・2ヘクタール、麦3・7ヘクタールに加え、新たに露地野菜の栽培に着手。25アールの畑でブロッコリーやハクサイ、ナスを作る。親戚に教わって作ったナス苗は種苗店から「こんなに立派な苗は見たことない。これを作れるなら全て買い取る」と言われ、自信を得た。
JAへの出荷とともに「直接消費者と関わりたい」と、ネット販売にも挑戦。サイトを見た町外の人が米を買いに来たことが、うれしかったという。
サッカーコーチの経験から、子どもと農作物の成長を重ねる。「子どもも農作物も適度に放置して、部分部分で面倒を見れば、成長する。野菜の方が成長がはっきり見えるので、すごく楽しい」と目を輝かせる。