新規就農者

[未来人材プラス]妻と共に農家めざす JAの研修制度に感謝 地域根差し技術磨く 北海道赤井川村・柳澤明さん(36)

 北海道赤井川村の柳澤明さん(36)は、道内では珍しくパプリカなどをハウスで栽培する。同志社大学の同級生だった妻の智衣さん(36)と就農して5年。「農家になって本当によかった。(所属する)JA新おたると村の支援のおかげ」と感謝を語る。

 大学卒業後、大手乳業メーカーに就職。都市銀行員だった智衣さんと結婚した。「すれ違いの毎日を変えようと二人で模索し、一致した仕事が農業だった」と明かす。

 就農先は明さんの生まれ育った北海道と決め、2015年に大阪で開かれた「新農業人フェア」(道主催)などへの参加を経て、翌16年4月に同村へ移住した。

 明さんは「初期投資の少ない施設栽培が盛んなこともあったが、一番の決め手は整った研修制度」と振り返る。

 研修はJAと村が連携、対象者に合わせたプログラムを2年にわたり行う。

 明さんの場合、1年目は複数の生産者を回って、野菜4種類とトルコギキョウの栽培の基礎を学んだ。2年目は、希望したパプリカとミニトマトの実習を引き続き生産者の下で実施。その傍ら、JAが提供したハウスを使って同じ作物の栽培を一人で体験した。

 明さんは「農業の基本や心構えを体験できた。この間に長女も誕生し、人生の大きな節目になった」と強調する。

 18年に50メートルハウス10棟を借りて就農。このうち1棟で、栽培技術が問われるメロンに挑戦した。20年にはホームページを作って直接販売をスタート。「消費者の反応が分かり、作り手の誇りを感じられる」と話す。

 ただ、経営の軸はあくまでもパプリカとミニトマト。昨年はハウス19棟のうち15棟でこの2作物を栽培、JAに全量出荷した。明さんは「父親世代の方から『そば打ったから食べに来い』などと誘ってもらえる。今後も地域に溶け込み、農家としての力量を高めていきたい」と見据える。

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