新規就農者
大都会から北海道深川市に移住し、キュウリ農家の担い手になった佐々木伸介さん(44)。東京都港区出身。テレビ番組で北海道農業に関心を高め、就農した。経験を生かし、新規就農者を支援するリーダーとして地域を引っ張っている。
佐々木さんは東京で飲食関係の会社員だった。26歳のある日、テレビの情報番組が人生の転機となった。深川市の新規就農募集内容を伝える番組。拓殖大学北海道短期大学の新規就農コース(現在はない)第1期生の募集案内を知り、「これだ」と直感した。
全道を回り、いろいろな農家を見て歩き、同市で農業を始める意志を固めた。27歳で同コースへ入学。地元農家を“親方”に、営農の基礎として水稲とピーマン栽培を実践で学んだ。冬期間は座学で農業の基礎や経営を習得する2年間のカリキュラムをこなした。
卒業後も親方の支援が就農を支えた。キュウリ農家をする親方の親戚の下で将来的な経営移譲も視野に入れ、周囲のサポートを受けながらさらに2年間、研修を重ねた。
2009年に新規就農。同市から教員住宅の無償貸し出しを受け、住まいを確保した。同市の就農支援金や各種支援資金などの補助で、施設設備が充実できた。地域の農家から20棟のキュウリハウスを譲り受けて営農を始めた。JAきたそらちや同市の農家のサポートを受け、「株式会社ファームSIN」を設立した。現在、キュウリハウス23棟とソバ20アールを栽培。全部で1・5ヘクタールで農業に励む。
「地元や青年部、行政などに散々世話になってきた。その恩返しがしたいという思いが、今の自分を動かしている」と佐々木さん。昨年設立した新規就農支援組織「深川市新規就農等受入協議会」の初代会長を務める。「研修生と受け入れ側、両者の立場を知る利点を生かして就農をサポートし地元を盛り上げたい」と見据える。
佐々木さんが就農した深川市の新規就農者向け支援制度の紹介ページはこちら