新規就農者

[未来人材プラス]効果的授粉へ研さん 年収“会社員並み”達成 養蜂で園芸振興も 新潟市・橋元友哉さん(32)

 東京都内の大学を卒業後、未経験で養蜂農家として就農した新潟市の橋元友哉さん(32)は、目標としていた“10年以内にサラリーマン並みの年収”を7年目の2018年に達成した。採蜜の他、イチゴ授粉に使うミツバチの効果的な使い方を地元JAや行政職員と検討。園芸農家らと一体で地域農業を盛り上げる。

 大学では経済学を学んでいたが、10年に就職活動を始めた時、橋元さんは「企業で働く自分が想像できなかった」。同市東区では鹿児島県出身の祖父が、趣味でミツバチを数箱管理していたため、「新潟に帰って来るなら手伝ってくれ」と言われていた。

 橋元さんが子どもの頃、多い時期には10~15箱の蜂を持っていた祖父の家で、タンクからこっそり味見した蜂蜜の味を思い出した。業界を調べ始めたが、関東では修業先が見つからなかった。

 養蜂農家として生活できるのか試そうと、12年に祖父の家の庭で5箱からスタート。13年は専業の養蜂農家で学び、夏から青年就農給付金(現在は農業次世代人材投資資金)の経営開始型を活用。14年に50箱へと数を増やした。

 経営規模を広げようと15年に競合を避けられる同市秋葉区への移動を決意。JA新津さつき(現・JA新潟かがやき)の担当者から移住先や蜂場の紹介を受けた。

 JAとの連携により地元のイチゴやスイカ、メロン、サクランボの授粉用に利用者が広がった。園芸農家の増収・高品質に役立つミツバチの管理を伝えようと、ハウスに入れるタイミングなどを、JAや行政職員と検討を重ねた。就農当初に目指していた収入は給付金が終わる18年には超えることができた。

 19年に、かおりさん(32)と結婚し、ミツバチの管理に専念できるようになった友哉さん。現在は600箱まで増えた。「増える園芸需要に応じたミツバチを安定供給したい」と意気込む。

橋元さんが活用した「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」の解説サイトはこちら