新規就農者

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[未来人材プラス]発見と癒やし感じて 自然や生き物の魅力 農を通じ月100人に伝授 和歌山県白浜町・遠藤賢嗣さん(35)

 花きと野菜2ヘクタールを一人でこなすこつは「たくさんの人に手伝ってもらうこと」。和歌山県白浜町の遠藤賢嗣さん(35)の元には、月に100人ほどが農業体験などで訪れる。イルカトレーナーから農家に転身して4年目。こよなく愛する自然や生き物の魅力を伝える“第二の夢”を実現している。

 京都府宇治市出身。動物好きでイルカトレーナーを志し、同町のテーマパークに就職した。主にイルカの訓練や体調管理などを担当。夢だった仕事にやりがいは感じたが「もっと自然に近い環境で大好きな自然や生き物の魅力を広めたい」と考えるようになった。

 漁師などさまざまな働き方を検討する中で、畑なら気軽に来てもらえると考え農業に興味を持った。同町で先に新規就農していた農家の下で1年間学び、県就農支援センターでも技術を習得。19年には研修先のつてで30アールを借り、農業次世代人材投資資金(経営開始型)などを利用して独立した。

 現在はケイトウ20アールやレタス80アールなど計2ヘクタールまで拡大。力を注ぐのが農業体験だ。「新しい発見や癒やしをくれる自然や生き物へのまなざしを持ってもらえたらうれしい」。生き物観察や収穫などを体験してもらうプランで地域内外から人を呼び込む。新型コロナウイルス下では旅先で余暇を楽しみながら仕事をするワーケーションとしても受け入れる。

 地元住民の縁で体験者が増えた他、交流サイト(SNS)でも積極的に募集する。南紀白浜という観光地で空港も近いことから、首都圏からの訪問も多い。収穫期にはほぼ毎日実施するほどの好評ぶりだ。

 祭りやアルバイトなどを通して、交流を欠かさない。「人に恵まれた。やりたいことを明確にして口にし続けたことで、周りもサポートしてくれたことが大きい」。移住先で理想の農園に一歩一歩近づいた秘訣(ひけつ)だ。

 

遠藤さんが学んだ和歌山県農林大学校就農支援センターのサイトはこちら