新規就農者
福島県田村市でミニトマトを生産する白岩洋さん(39)は、東京で映像の編集や配信をするポストプロダクションから、Uターンして農家に転身した。ブロッコリーや、フキのとうと組み合わせ、年間を通して出荷できる体制を整える。
高校卒業後に地元を離れ、大学卒業後は東京で就職した。「家や農地を守るために、長男としていつか戻らないと、という思いがあった」と振り返る。仕事は刺激があったが忙しく、終電で帰り、始発で出社することもあった。父は70歳を超え、自身も30代半ばになった。今後の生き方を考え、戻ることを決めた。「自分のペースで仕事をしたい」(白岩さん)。移住者向けのイベントなどに参加し、情報収集した。
就農の決め手は、同市の新規就農者への支援体制が整っていたことだ。行政やJA、生産者団体が連携する「田村地域就農支援プロジェクト」は、研修先の確保や品目の選定、経営計画の作成、農地の相談など、一貫して支援している。
2019年に移住し、JA福島さくらの子会社で1年間大玉トマトの研修をした。21年にハウスを建てて本格的に始動。需要の高いミニトマトを選んだ。品種は「サンチェリーピュアプラス」。引き締まった果肉とパリッとした皮が特徴だ。日持ちするため、少ない人数でも収穫できる。「これまでは映像を通して感動を届けてきた。今は汗をかいて作ったトマトを収穫して食べ、体で感じて心が満たされる。これまでにないリアルさが面白い」と笑顔を見せる。
ブロッコリー15アールとフキのとう10アールも栽培する。「いつまでに何をするか。前職で心がけていたPDCA(計画、実行、評価、改善)方式で、安定出荷を目指し、経営の土台を固めたい」と意気込む。
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