新規就農者
“親方”の姿に憧れ ブドウ栽培に奮闘中
北海道岩見沢市栗沢町で、ワイン用ブドウを栽培する浦本忠幸さん(33)。“親方”と慕う同地区の農家に学びながら「将来は自分たちのブドウでワインを醸造したい」と夢を膨らませる。
福岡県で生まれ、3歳の時に父の仕事の関係で北海道北竜町へ移り住んだ。北海道大学理学部生物学科では、植物を専門に学んだ。生物が好きで同学科を専攻したが、研究室に閉じこもる状況が多くなった。「自然に向き合う仕事がしたい」と思いを募らせ、次第にワイン用ブドウの栽培を夢見るようになった。在学中から札幌市の「さっぽろ藤野ワイナリー」に通い、栽培についての知識を学び、2014年、大学卒業後に同ワイナリーに入社した。
同ワイナリーでは、ブドウ畑の栽培担当として、巡回や栽培管理を行いながらワイン醸造なども学んだ。その中で、同ワイナリーのアドバイザーとして仕事に来ていた、岩見沢市在住の“親方”との出会いがその後の人生を決定付けた。
「親方のワイン造りや暮らし方、生き方が自分の夢見た生活そのものだった。苦労しながらも、自分のやりたいことに取り組む親方の姿に憧れた」と浦本さん。独立を決意し、5年間働いた同ワイナリーを退職。親方の下で2年間、ブドウ栽培とワイン醸造技術、農業経営などの研修を受け、22年に親方と同じ地区で新規就農した。
地元農業委員や地域の人たちの協力で、農地4ヘクタールを取得。現在はワイン用ブドウ栽培に励み、醸造所の開設に向け準備をしている。資金はJAが窓口となり、農地は日本政策金融公庫の経営体育成強化資金を活用した。倉庫や農業用機械・醸造設備などについては政府の事業「青年等就農資金」と自己資金で対応した。
浦本さんは「目指すものは、地元の人に飲んでもらえるワイン。ブドウ農家が醸造するワインを造りたい」と熱く語る。
浦本さんが活用する融資制度を解説した日本政策金融公庫のウェブサイトはこちら