新規就農者
阿蘇山の麓で仲間や牛たちが見守る中、自身の名前が刻まれた真新しい牧場の看板を誇らしげに掲げた。9月上旬、酪農への就農をサポートする「全酪アカデミー」の就農第1号として、酪農家の第一歩を熊本県阿蘇市で踏み出した。
北海道大空町で酪農家の5人兄弟の末っ子として生まれ、牛は生活の一部だった。進学を機に家業からは離れたものの、全酪連に就職。酪農家の元を飛び回るうちに、「自分だったらどんな風に牛を飼おう」と考えることが増えていった。
全酪アカデミーの後押しもあり、3年間の研修をスタート。牧場研修ではベテラン農家が牛の何を観察しているのか、食い入るように見つめた。
研究熱心さと、明るく誠実な人柄が縁を引き寄せ、阿蘇市のもりもと牧場を引き継ぐことが決定。自身も牛3頭から新規就農し、230頭規模に育て上げた前代表の森本勝義さん(70)は「若い力で酪農を盛り上げてほしい」と見守る。
逆風が吹く酪農業界だが、小久保さんの表情は明るい。「酪農は総合的な産業。土づくりや餌づくり、一つ一つにやりがいがある。地域を引っ張っていく存在になりたい」。若き担い手の言葉が、力強く響いた。
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