新規就農者
赤系で大粒ブドウの島根県独自品種「神紅」との出合いが、中山間地の広がる邑南町で農業を始めるきっかけとなった。
益田市の兼業農家の親の元で生まれ、高等専門学校を卒業するまで県内で育った。小さい頃は田植えや稲刈りなどをよく手伝い、農業にはもともと興味があった。前職は風力発電の整備に携わり、福島、東京など各地を転々として入社5年がたとうとしていたころだ。
前職に充実感はあったが、そろそろ島根に帰りたいという思いが強くなっていた。その時に名前を公募したことが頭に残っていた、「神紅」をふと思い出した。気になって生産者から取り寄せて初めて「神紅」を食べてみたら、他の品種にはない独特の香りに衝撃を受けて「この品種を自分で作ってみたい」と直感的に思えた。
その直感を信じ、就農を志すようになった。本格的に就農場所を探す中で、「神紅」で産地化を目指す邑南町を紹介してもらった。3年間の農業研修制度「おーなんアグサポ隊」が充実していて、自分の実力が伸ばせると思い、この地を選んだ。
研修期間中は地域おこし協力隊としても活動した。1カ月当たりの給料は20万円前後と他の地域に比べて高く、3年間の支給で助かった。JAのリースハウス制度もあって初期投資を抑え、円滑に就農へ移行できた。
就農1年目の収穫を終え、何でも自分で考えて行動できる農業に魅力を感じている。就農して不安も大きかったが、出荷期間の売り上げが目標の倍近くになり「神紅」でやっていけると確信できた。
今年立ち上がった部会の14人のうち半分以上が20、30代と、全国的にも珍しい若い部会だ。若手で産地を盛り上げ、「神紅」の存在をまず消費者へ伝えていきたい。
▼「農業研修生(おーなん アグサポ隊)募集 邑南町」のウェブサイトはこちら
https://www.town.ohnan.lg.jp/www/contents/1001000000522/index.html