新規就農者
愛知県東栄町の森田泰史さん(39)は、都市部から移住してブランド鶏「名古屋コーチン」の肥育農場を第三者承継した。養鶏の技術や経営を学びながら地域活動にも積極参加。中山間地域の一員としてなじんできた。「名古屋コーチン」を新たな特産品にして、“第二の古里”を盛り上げようと奮闘する。
豊川市出身。県立農業大学校を卒業、農業関係の会社や県職員などとして働きながら「いつかは農業をしたい」という夢を膨らませてきた。
転機は27歳。上司から、後継者を探している養鶏場があると聞いたことだ。約40年の歴史を持つ農場で、ノウハウも販売先もある。何より「まだ先だと思っていた夢が目の前にある。逃すと次はないかもしれない」と思った。紹介を受けてから移住して働き始めるまで約半年の即断だった。
「名古屋コーチン」は平飼いで、飼育日数120日以上。独特の性格もあり、管理は気を使う。当初は病気が出るなど安定しなかったが、師匠である前の農場主や農大時代の恩師らの助言を受けて技術を高めた。
生活面では消防団活動に参加。新たな仲間に支えられながら地域に徐々に溶け込んできた。農場主や販売先と相談して34歳で独立。「古戸(ふっと)養鶏場」の屋号をそのまま引き継いだ。
鶏舎6棟で年間約5万羽を出荷する。休みを取りにくい養鶏経営の難しさも感じるが「好きだから苦ではない。毎日鶏を見ないと落ち着かない」と話す。ただ、新規就農者を増やしたいと考え、研修生や従業員には労務管理を徹底して、働きやすい経営を模索する。
将来は生産に加え、店舗を構え東栄町産「名古屋コーチン」の販売も手掛けたい考えだ。仲間と加工品開発も進める。多くの人と出会い、考え方も変わってきたという森田さん。「今まで好きなことを自分のためにやってきた。次は町のために何かしたい」と意欲的だ。
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