新規就農者
東京都出身の浅井広大さん(32)は、青年海外協力隊として働いた後、世界遺産・富岡製糸場がある群馬県富岡市で養蚕に打ち込む。就農5年目の今年、大日本蚕糸会の第9回蚕糸絹業提携確立技術・経営コンクールで受賞し、養蚕界のホープとして注目を集める。
京都大学在学中に農業に興味を持った。卒業後に青年海外協力隊としてネパールでキノコ栽培を指導。派遣前の研修で同市や甘楽町の農家に指導を受けた縁もあり、2015年の帰国後1年間、同町のNPO法人・自然塾寺子屋に籍を置いてネパールで起きた大地震の復興支援に取り組んだ。
同町の農家と付き合う中で「ここに住みたい」と決意。1次産業に携わる道を探る中で「養蚕の後継者がいない」と聞き、周囲の助言もあって1カ月間の研修受けた。その際、教えを受けた農家が五感を使って蚕に向き合う姿に感動。「養蚕がなくなるのはもったいない。覚悟を決めよう」と、16年から同町の地域おこし協力隊の一員として養蚕を始めた。
1年目は町が手配した空き家に住み、養蚕をしていた農家から道具を譲り受けるなどして小規模で蚕を飼い始めた。2年目に養蚕農家だった住宅に移って、作業環境を改善。協力隊の3年の任期を終えた後は、富岡市が養蚕業の継承のためリフォームした住宅に腰を落ち着けた。
就農から5年。蚕の病気や繭の質に関わる作業のミスなども経験したが、先輩農家に助言を受けて励んできた。養蚕の魅力は「一筋縄ではいかないが、やった分だけ成果が出る点」という。
技術向上に伴い繭の生産量も順調に伸び、昨年は860キロを生産。1年目の200キロの4倍を超えた。今は6~10月に蚕を飼い、JA甘楽富岡を通して繭を出荷する。冬場は下仁田ネギと長ネギを作る。「今度は養蚕をやりたい人を受け入れる側となり、仲間を増やしたい」と意気込む。
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