新規就農者

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[未来人材プラス]「どこで何を」思い描き 3県の法人勤務経てトマトで今年独立 熊本県南阿蘇村・村上博さん(39)

 熊本県南阿蘇村でトマト栽培を始めた村上博さん(39)は、農業法人への勤務から自治体での研修を経て就農した。福岡県出身で農業の知識ゼロから出発。福岡、大分、熊本の3県の法人で働き、どこで何を作るか希望を固めてから独立へと歩みを進めた。

 実家が農家ではない人が就農する準備には①農業法人の社員として働く②自治体・JAなどの研修制度を利用する――の大きく二つがある。村上さんは大学卒業後に「農業で独立したい」と決めたが、どの作物をどこで作ればよいか分からない。「自治体の研修を受けるにはその土地で就農する覚悟が必要だが、何を作るか漠然として自信がなかった」と振り返る。

 ハードルの低いスタートとして農業法人での勤務を選択。初めは派遣社員として福岡県北九州市でキャベツを作り、その後大分県豊後大野市のネギ法人、熊本県八代市のトマト法人で働いて約7年の研さんを積んだ。

 作物と関わりながら独立の姿を描き、夏秋トマトがよいと考え始めた。トマトは作る人によって作物の様子に差が出る。「うまい人は見事に作る」のを目の当たりにし、やりがいと憧れを感じた。夏秋の作型なら広い面積や機械が不要で、一から始めやすい。

 場所は南阿蘇村と決めた。支援制度が充実し、JA阿蘇の選果場を利用できて労力負担を減らせる。村の研修制度を利用し、ベテラン農家の山室啓志さん(64)の指導を1年受けた。国の「農業次世代人材投資事業」を利用して1年150万円の支援も受けた。

 研修で新たに得たものは、技術や経営者としての知識に加え、人間関係だ。「地域やJAの部会など、関わる人の数が法人で働いていた時より桁違いに広がった」と村上さんは話す。

 今年から独立。「いずれは法人で栽培した白ネギを取り入れたい」と経験を未来に生かす。

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